シンガポール、日本、スロベニア、フィリピン、インドネシア/2023/108分
監督:ニコール・ミドリ・ウッドフォード ( Nicole Midori WOODFORD )
シンガポールで父と暮らす高校生のアミ。彼女の母は日本人で、東日本大震災の際に日本に帰国したきり、ある時期を境に行方不明になっていた。頻繁に母の夢を見るアミは母がまだ生きていると確信している。彼女の残したテープや手紙を新たに発見したアミは、自分が夢で見た道を辿ることを決意し日本に向かう。そして母の最後の居場所を知る唯一の人物で、現在は東京に住むタクシー運転手の叔父と共に、東北地方へ母の足跡を辿る旅に出るが…。短編作品で注目を集め、エリック・クーが製作を務めたHBOアジアのテレビシリーズ『フォークロア2』の一篇「お出かけ」を監督したニコル・ミドリ・ウッドフォードの長編デビュー作は、喪失の痛みに人々がいかに向き合うかを描いた作品だ。名手浦田秀穂による見事な撮影に加え、幽霊や死者の魂が生者の世界と共存する超自然的な描写も大きな効果を上げている。サンセバスチャン映画祭の新人監督部門でプレミア上映された。