シュールなジャケット・デザインとともに届けられた本作は、旺盛なライブ活動で得た自信がレコーディング・スタジオでも発揮され、サザンオールスターズがひとつの音楽ジャンルとして認知されるキッカケとなる重要作である。ポップでありつつロック的な破壊力が増したのも特色で、イントロからギター・ベース・ピアノがユニゾンの強靱なフレーズを奏でる「Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)」は、象徴的な存在だ。その後のライブで定番曲となっていく「My Foreplay Music」は、メンバー全員の息の合ったアンサンブルがスリリングですらある。映画『モーニングムーンは粗雑に』に桑田が音楽監督として関わったのも大きく、そもそも「Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)」は主題歌であり、「恋の女のストーリー」「朝方ムーンライト」「栞(しおり)のテーマ」は挿入歌だった。特に桑田が60年代のブリティッシュ・ポップをイメージした「朝方ムーンライト」は、情景のみならず、描かれた時間帯すらリアルに届いてきた。なお、さきほどロック的と書いたが、その一方でソフィスティケイトされたサウンドが聴き所でもあった。「Hello My Love」「素顔で踊らせて」「夜風のオン・ザ・ビーチ」は、まさにそんな魅力に溢れ、八木正生の引き続きの協力も大きかった。ジャンプ・ブルースの巨人、キャブ・キャロウェイに捧げた「我らパープー仲間」からは、 音楽マニアとしての桑田やメンバーの姿が垣間見られるだろう。
収録内容
01. Hello My Love
02. My Foreplay Music
03. 素顔で踊らせて
04. 夜風のオン・ザ・ビーチ
05. 恋の女のストーリー
06. 我らパープー仲間
07. ラッパとおじさん(Dear M・Y’s Boogie)
08. Let’s Take a Chance
09. ステレオ太陽族
10. ムクが泣く
11. 朝方ムーンライト
12. Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)
13. 栞のテーマ