1980年の前半を充電期間(音楽制作に専念)にあてた彼らは、念願だったレコーディング三昧の日々を送り、その結果、確かな手応えを得たのが本作である。このアルバムを挟み、”ファイブ・ロック・ショー”と銘打って、毎月シングルをリリースする企画を実施したが、「Hey! Ryudo!(ヘイ!リュード!)」「涙のアベニュー」「恋するマンスリー・デイ」はそのなかで発表された楽曲でもあった。バンドの見え方が多面化したのもこの時期であり、原がボーカルをとる「私はピアノ」と、松田がボーカルをとる「松田の子守唄」も収録されている。この作品が原のソロ活動の礎ともなった。桑田のソング・ライティングは格段の拡がりをみせていく。アメリカ南部ジョージア州の地名も登場する「タバコ・ロードにセクシーばあちゃん」は、老いらくの恋を描く新境地だった。「働けロック・バンド(Workin’for T.V.)」では、プロ・デビューして感じた世の矛盾や世知辛さもテーマのひとつとなる。シングル・ヒットした「C調言葉に御用心」も実に新鮮な作品で、サウンド面ではAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)的な演奏を披露し、桑田のボーカルは縦横無尽の軽やかさで聴き手の心を掴んだ。ジャズ・ピアニストの八木正生との出会いも大きかった。彼は弦や管のアレンジを手伝ってくれたが、桑田をはじめメンバーは、この師から多くのことを学んだのである。
収録内容
01:ふたりだけのパーティ ~Tiny Bubbles(type-A)
02:タバコ・ロードにセクシーばあちゃん
03:Hey! Ryudo!(ヘイ!リュード!)
04:私はピアノ
05:涙のアベニュー
06:TO YOU
07:恋するマンスリー・デイ
08:松田の子守唄
09:C調言葉に御用心
10:Tiny Bubbles(type-B)
11:働けロック・バンド(Workin’ for T.V.)