この時期の彼らといえば、「チャコの海岸物語」の大ヒットがあったが、アルバムには収録されず、本作には本作ならではの世界観が存在することとなる。この新作を牽引したのは次のシングルとしてヒットした「匂艶(にじいろ) THE NIGHT CLUB」である。ラテン・ロックということでは従来の路線でもあったが、より重厚で精密な音圧を実現し、確かな成長が聴き取れた。さらに社会性のある作品というのも本アルバムの特色となる。タイトル曲「Nude Man」はロッキード事件を匂わす歌詞であり、桑田が書き、原が歌った「流れる雲を追いかけて」は、中国残留孤児が社会問題となっていた世相を反映したものだった。ソングライティングの新たな挑戦を告げるのが「逢いたさ見たさ 病める My Mind」であり、敢えて一音に一文字のみを乗せ、母音を伸ばさず歌う手法が試みられた。さらに「来いなジャマイカ」では、頭韻と脚韻の斬新な合わせ技が冴えていた。「Just A Little Bit」は大半が英語の歌詞なのだが、この件に関しては、若気の至りであったと後に桑田自身も振り返っている。なお、バンドの枠を超え、ソングライターとしての桑田が脚光を浴びたことも付け加えておく。「夏をあきらめて」は、様々なところで愛されるJポップのスタンダードな存在にもなっていく。
収録内容
01 DJ・コービーの伝説
02 思い出のスター・ダスト
03 夏をあきらめて
04 流れる雲を追いかけて
05 匂艶(にじいろ)The Night Club
06 逢いたさ見たさ 病めるMy Mind
07 Plastic Super Star (Live In Better Days)
08 Oh! クラウディア
09 女流詩人の哀歌
10 Nude Man
11 猫
12 来いなジャマイカ
13 Just A Little Bit